おっちゃんの経験

前回書いたようにツクルバは、組織が大きくなっていく過程で起きるであろう諸問題に先手を打つために、おっちゃんを雇った(笑)。

リクルートやコスモスイニシアは、僕に実にたくさんのことを経験させてくれた。株式上場もしたけど、まだ総会屋が元気な時代だった(笑)。バブル景気の急成長もあったけど、バブル崩壊の急降下にも見舞われた。創業者が「時代の寵児」と呼ばれた時期に広報担当だったけど、「ある日突然風向きが変わる」のも経験した。だから伸びていくベンチャー企業を見ていると、「あー、あの頃のリクルートだ」とか「コスモスイニシアでも同じことが起きたから、組織のどこかでこんな問題も起きてるはずだ」と、感じることがある。
この半年間、共同創業者の相談相手をしたり、他のベンチャーの経営者のブログなどを読んでいるうちに、気づいたことがある。

中間管理職の経験がない

多くのベンチャー経営者が必ずぶつかるのが、「30人の壁」。社員が増えていくと「30人の壁」にぶつかり、それを乗り越えるところで四苦八苦するということだ。
なぜみんながみんな、同じことで苦労するのか。
ベンチャーの経営者に共通していることは何か。

それは、「中間管理職の経験がないこと」だ。特に部長経験がないことが大きい。

「部長経験がない」=「30人以上の組織のマネジメント経験がない」。
あるいは、「課長は直接メンバーをマネジメントできるが、部長は課長を通してマネジメントする。すなわち、部長経験がないということは、人を通して人をマネジメントした経験がないということである」
とも言える。
この経験がないまま、その環境に身を置くことになるから苦労するのだろう。

例えば、「どんな人をマネジャーに選んだらいいだろう」。
これは彼らの大きな悩みの一つであるようだ。大概の場合、業績の高い人、スキルの高い人を選ぶが、思うように組織全体のパフォーマンスは上がらない。下手をすると民心が離れてパフォーマンスが下がることだってある。

次に彼らは、自分と同じ考えの人を選ぼうとする。だけど十人十色なんだから、そんな人がいるはずもない。だから、これもうまくいかない。

社長にはなれるが、部長にはなれない

昔、元リクの起業家たちと話していたときのこと。私が「いつまでも独立せずにリクルートグループに残ってしまったために社長経験がないんだ」と嘆いたとき、彼らはこう言った。
「高野さんの方が貴重な経験をしてますよ!なりたいと思えば社長には誰でもなれます。でも、大きな組織の部長や課長には、なりたくてもなれない。僕らはもう、部長・課長を経験することはできないんです」
そのときは、僕に対する慰めだとしか思ってなかった。でも、今にして思えば、彼らも「30人の壁」にぶつかり、悩み、自分に部長・課長経験があったら、と思っていたのだろう。

こうしてみんながぶつかる「30人の壁」。
次回は、僕が部長・課長経験から学んだ「30人の壁の正体」についてお話しします。


高野 慎一

Shinichi Takano

株式会社リクルートにて人事・広報を経て、株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)の上場プロジェクト発足に伴い同社へ出向・転籍。不動産流通・賃貸事業で管理職を務め、2006年、同社執行役員に就任。グループ戦略室長・総務人事グループ長を兼務。同社の株式上場、管理部門創設、バブル崩壊後の不動産賃貸事業の黒字化、リーマンショック後の日本初の事業再生ADRなどで中心的な役割を果たす。株式会社ぎょうせいを経て、現在は日本交通株式会社取締役。2015年10月よりツクルバに参画。

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