11月22日にco-ba shibuyaでtsukuruba youth lab. #地方創生編が開催されました。
tsukuruba youth lab.は、ツクルバのU25のメンバーが企画や運営を行っています。
“ツクルバの理念は「『場の発明』を通じてほしい未来をつくる。」こと。社会全体を変える大きな改革も小さな変化も想いのある一人の行動から始まると私たちは考えています。youth lab.では一人一人の想いがまわりの人へ伝播し、新たなアクションが生まれる場にしたいと思い企画しています。”
一見イベントのように思いますが、そうではないそう。
“イベントというよりは、実験場でありコミュニティだと考えています。やりたいこと・思っていることを発信して想いでつながる。ここでアクションの種を蒔いて育てていきたいと思っています。そして、今回からテーマを設定しました。テーマを設けることで、より強く、濃いつながりがこの場で生まれたらと考えています。”
活動の原点をつくってくれた宮崎のために働きたい
■杉本恭佑(すぎもときょうすけ)
熊本出身宮崎愛根津在住。宮崎の野菜を中心に扱う八百屋「VEGEO VEGECO 根津」の店長。学生時代を宮崎で過ごし、中心市街地活性化「ドマンナカ」で色々な人との出会いの中で宮崎に心奪われる。また、「宮崎夢ナビ」という学生団体を立ち上げ、高校生と大学生向けに“人と人をつなげ自分の将来について真剣に考えること“を目的としたイベントの運営を行う。(自称)宮崎観光大使。現在は都内のスペースを借り、不定期でコミュニティバー「SUGI BAR」を主催している。
杉本さんは熊本で20年過ごし、高専から編入で宮崎大学に入りました。編入したばかりでなかなか友だちができなかったときに、数少ない友だちがボランティアに誘ってくれたそう。ボランティアをきっかけに友だちができ、学生と社会人をつなげる団体を作るなどの杉本さんの活動が広がっていきました。
“地方出身の方はわかると思うんですけど、地方にはチャンスが少ないんですよね。だから、彼がボランティアに誘ってくれたことは自分にとってとても大きな出来事で。
なので、そのきっかけを与えてくれた宮崎に恩返しをしたい、人と出会ったり環境を変えるきっかけがない人にきっかけをつくりたいと思っています。”
宮崎のために生きたい杉本さんがあえて東京で活動をする理由はなんなのでしょうか。
“就活を始めたときは、宮崎のために働きたいけど、その前に東京から見た宮崎を知りたいし東京で力を付けたいと思っていました。そのときにちょうど同級生が立ち上げたベジオベジコが東京支部を立ち上げることが決まって。その1週間後に東京に来て、ベジオベジコで働くことを決めました。
ベジオベジコでは、宮崎のものを中心に生産者さんの想いが詰まった野菜や加工品を消費者に届けることを大切にしています。”
杉本さんが働くベジオベジコの野菜
“宮崎から発信できることもあるけれど、発信では自分から情報を取りに来てくれる人としか出会えないんですよね。東京でオフラインの場をつくると、偶然そこに来てくれた人に宮崎を知ってもらうことができるので、東京で活動することの価値はそういうところにあると思っています。”
そして彼にとってのコミュニティの話へ。従来のコミュニティは『◯◯出身』『△△のファン』など属性ベースであることが多いですが、彼がつくっているコミュニティはそうではないそう。
東京でも宮崎でも『地元づくり』をしたいと思っている杉本さん。彼にとって、地元やコミュニティはどのようなものなのでしょうか。
“地元とは『居心地のいい、帰れる場所』だと考えていて、そこには人とのつながりが絶対あると思っています。だから自分は人と人がつながるコミュニティをつくりたい。
最近おもしろいと思っているのは個人ベースのコミュニティ。『杉本恭佑』に興味がある人を集めると、次はそこに集まった人たちが好きな人たちを集める。そうやってコミュティができていくと、考え方とかがずれないんですよね。だから居心地がよくなるんです。”
そんな彼が最後に参加者に伝えたいこと。
“リトルアクション&発信の大切さをお伝えしたいと思います。自分のコミュニティの軸になっているSUGI BARのスタートは、自分の誕生日を祝ってほしいなと思ったことだったんですよ。『誕生日会をやりたい』って発信したら、うちのバーでやりなよって言ってもらえて。結果40人来て、それを発信したら、飲食店を経営している人から声がかかったり。ほかにも今回のようにイベントに登壇してほしい、PR動画撮らせて、次絶対いくからとどんどんつながりました。でも、最初は誕生日会をやりたいっていう小さなことから始まったんです。”
小さなアクションの積み重ねが地方の魅力をつくる
■浦田 修伍(うらたしゅうご)
1993年大阪府生まれ。デザイン会社数社でUI/UXデザイナーとして活動した後、独立。フリーランスとして潜在的な価値を正しく伝えるためのITを使ったコミュニケーション設計を行う。幼少期をドイツで過ごした経験から、現在は東京に拠点を持ちながら長野県や徳島県、福島県を中心に、日本各地にある言語化されていない魅力をWEBや映像を通して伝え、ヒトとモノが循環する仕組みづくりを行っている。
今年の3月に大学を卒業し、大学の頃からフリーランスの仕事を始め今年3年目になる浦田さん。大阪生まれで、中国に2年間、ドイツで7年間過ごし、10歳で東京に帰ってきたというバックグラウンドが今の活動につながっています。
“自分が地方に関わろうと思った理由は、日本で幼少期を過ごしていないところにあります。11歳で帰ってきたときに、日本人が感じている日本の魅力と、海外の人が感じている日本の魅力が違うということに気づきました。
例えば、日本人にとってユニクロと松屋は外国で有名という認識がありますが、外国人は日本といえば侍や忍者、富士山なんですよね。だから、外国人が魅力に感じている日本をちゃんと発信していきたいなと思うようになりました。”
浦田さんは地方の魅力を伝える映像だけでなく、地方で人が集う場もつくっています。
“人って歳を積み重ねていくと関わっていく人が増えていって、価値観も多様化していきますよね。地方も同じだと思っていて、今ある魅力に惹かれた人たちが集まり、次の魅力をつくっていく、それを積み重ねていくことが今の地方には大切なのではないかと思います。
なので、地方の個性や特性、人の暮らしの魅力を切り取って、その文化に魅力を感じる人に対して発信をして、その地方に足を運ぶ人を増やし、交流を生みたい。
東京の人を地方に連れていくこと、日本と海外をつなげることはもちろん、地方と地方をどうしたらつなげられるかというところも考えています。”
浦田さんがつなげる手段に映像や写真を選んだ理由はなんなのでしょうか。
“言葉でしか伝えられないことも、言葉で伝えられないこともあると思っています。自分が地方の魅力を感じるのは、そこに住んでいる人の表情やきれいな景色だったので、自分は動画と写真に特化してやっていきたいなと。
youth lab.のコンセプトの『小さなアクションから始まります』というフレーズは本当にそうだな、と思っています。自分が東京で小さなアクションをすることで、地方に足を運んだ人が小さなアクションを起こす。それをつなげていくことが自分の役割だと思っています。”
実現したい社会は『誰もが心のふるさとを持てる社会』
■山口春菜(やまぐちはるな)
大手人材サービス会社で新規事業の広報・PRリーダーと地方創生コミュニティデザイナーを兼任。地方自治体や地方企業の採用活動を推進・サポートし、ひとりひとりの人生にマッチにした“しごと“をデザインしている。学生時代から気仙沼大島観光特使をつとめており、宮城県、愛知県、高知県、兵庫県などで自治体とともに地域活性プログラムを構築。地域に合った魅力の発掘・発信を行い、政策の作成をサポート。また国連防災世界会議、G7伊勢志摩サミットなどの国際会議で防災カテゴリーの企画・運営を務めている。
「人材会社ってどういう思いますか?」という問いかけから始まった春菜さんの発表。
彼女は“闇”だと思っているそう。
“人材会社は仕事を探している人たちと企業の間に介入することで、求職者がその人に合う仕事を見つけやすくすることが役割です。なんですが、東京で仕事をしている人は、地方の求人を見ることはほとんどありません。だから、都会の会社ではその中で転職が繰り返されている。地方では都会で働きたいという人が多い、なので結局地方に移住したい人しか地方の求人を見ないようになっています。
どうしてそういうことをしているかというと、転職を繰り返してもらった方が人材会社が儲かるから。そうやって選択肢を狭めているのが私は闇だと思います。
地方と都会の壁をなくして、誰でも自由に地方と都会を行き来できるようにしたい。私は転職という人生のきっかけでそれを実現したいんです。
うちの会社が唯一今のそういう人材業界を変えたいって言っている会社なので、今の会社に就職しました。”
春菜さんが地方に想いを持っている理由は、彼女が生きづらさを感じていたときに地方の人たちに救ってもらったという経験があるから。
“私が生まれ育った名古屋は都会で、コミュニティが狭すぎるし近所とも仲良くない。それに加えて私は家庭環境もよくなかった。そういうときに気仙沼に行ったら、行っただけでほめられるし、髪の毛染めただけで「染めたのね〜」って言ってもらえて、そこにいるだけで認めてもらえました。自分が『ここにいていいんだな』と思えたのが地方であり田舎でした。
都会にいる人って昔の私みたいに『ここにいていいのか』と漠然と仕事して、自分の可能性を閉ざしている人が多いのではと思っています。地方には自分らしさを見つけるチャンス、宝の山がたくさんあるのに。”
そんな人材業界の中で働いている春菜さんが考える“しごと”、そして“就職”について。
“就活のときって、どの仕事をしたいかで考えがちなんですけど、自分がどう生きていきたいか、どういう環境で働きたいか、どういう社会を実現するために生きていきたいかを考えないと、確実に失敗すると思います。
なのに、今は選択肢が少なすぎる。だから、その選択肢を増やすということをしたい。かつそれって若者じゃないとできないことなんです。だから、みなさん私に協力してください!!!(笑)”
最後にアクションを起こすためのアドバイス。
“人脈とか人とつながるだけだと意味ないんですよね。アクションをしないと意味ない。だけど、人とつながってからどう行動するかはなかなかわからないと思うので、それこそyouth lab.のような場で行動している人から学ぶことが大切だと思います。”
3人の話が終わった後は、個人で大きな一歩と小さな一歩について考え、3人一組になり、話し合ってもらいました。そして最後に集合写真。
次回は1月26日にスピンオフ企画を開催予定です。
youth lab.に少しでも興味を持ってくださった方はぜひ足を運んでみてくださいね。
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